Ⅰ 研 究 報 告
1. 特産品開発研究
1.1 地域特産材を活用したインテリア用品の開発研究
久津輸勝戎 三枝英彗ご 大野善広一 吉岡誠才*
l .目 的
大分県は、総土地面積の71%を林野で占め、
年間素材生産量I ま約800千ガで、林産関係が産
業に占める割合も高い。
当所が所在する日田地区は、県西北部に位眉
し、九州の中でも内陸部に吊し、年平均気温15.1
℃、降水量1,850■ ■ 、平均湿度80.8%等、高温
多湿の気象条件が木材の戊命に適している尊も
あり、木材の中でもスキ材の厚出塁が群を抜い
て多い。
秩改植林された木も、約40年が経過して別在
では成木となり、伐期を迎えている。日田管内
の民有人工林・針葉樹の松村積数14,584千正
の中で、今後5年間で標準伐期齢I こ達すると見
込まれる材琉は5.465千戒を占め、全体の約認
%に当る。
今後これらのスギ材が多量に産出されること
が予想され、地域の特産であるこの豊富な貴源
をいかに有効I こ活用するかが大きな課題である。
地域固有の技術と素材を融合させ、新しい感
覚による生活用品を開発し、地場産菜の振興に
役立てることを目的とする。
ギ材の温かさ、ぬくもり等、木の特性や特徴を
そのまま新しい生活空間の中に広く取り入れる
ように計画した。そのため次の農本構想で研究
I こ取り組んだ。
(註釈しいライフスタイルの設定
(診新しい感覚による基本的な提案
(計新しい構造と接合金具の開発
(彰新しい表面処理技術の開発
2_1 掬発コンセプト
モノの充足から、ココロの豊かさが問われる
時代。隼宿をいかに楽しみ、クリエーティプに
するか。又余暇をいかニー生かし快適に過ごすか
が今後の課題となっている。
(9の新しいライフスタイルの設定は図−1に
′ 示す通りで、それに伴う開発コンセプトとして
<ゆとり><豊かさ>を基本として考えた。
図表の中で、勤労においては、日本人の飽き
過ぎが海外からも非難される巾で、週休2日制、
遇40時間労働が一般化して来る傾向にある。
牲南面においては、余暇時間の増ノくI こ伴って、
趣味、文化活動や旅行など、ゆとり、豊かさを
求める傾向がだんだん出て来ている。又−−〟平
均寿命の伸びI こよる隼きがい対策などもこれか
ら解決すべき課題となって来る。
環境面では、利便性のある都市への一極集中
がますます高まり、住宅環境においてはゆとり 2.方
法
この研究は、本年度を初年度とする3ケ年計
画の研究と位置付け、日本間有の樹種であるス
■デザイン研究鼠 坤加工技術研究室,♯I ⊂塗装技術研究室
のある住空間はだんだん望めなくなる。休暇を
利用した狭い住空間からの脱出か考えられ、別
荘やセカンドハウス等で週末を過ごすことが新
しい生活のあり方となりつつある。
た
格
㊥
県
ギ
接
接
木
と
ス
つ
価
新しいライフスタイルの設定
<生 活>行
層
<環 境>
<勤 労>
働き過ぎ
.■ ∴ i 寧休2∈l 制 (遇劇時間労働)
平均寿命の伸び→生きがい 狭い室内空間<ウサギ′ ト屋>
==>余暇時間の増大
」ユ
国民休暇村
キャンプ村
別 荘
セカンドハウ
ログハウス
ゆと り、豊かさを求める趣味、旅行、文化活動
ス
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<開発コンセプト> <地域特性>
・木材資源
(スギ、ヒノキ材の成木)
・ログハウス
(庄工試→日田郡森欄組
・特 産 品
広い空間
(オープンスペース)
環のとかし
・材り湿り
具菜たくし
家然っきっ
自ゆ大ど り
の
もものの
くたもも
ぬしいた
(一村一品メイドイン大分)
図−1 新しいライフスタイルの設定
以上のような新しいライフスタイルを前提に
して、家具の開発対象として、
亘)自然素材のぬくもり
¢)ゆったりとした落ち着き
㊥大きく、温かいもの
(初どっしりした存在感
に関発のポイントをおいて進めることとした。
2,2 開発アイテム
開発に当っては、ログハウスや、セカンドハ
ウス等の広がりのある空間を想定。その中で快
適に過ごすために巌も必要なものを絞り込んで
開発7イテムを決定した。サニ宿の場に必要で使
用頻度の高いものとして、テーブル、イス、タ
ナ等が必然的に上げられる。そこで生活空間の
l トンバも開発した。
之3=素材の選定
開発に必要な素材は、地域にある素材の見直
し、及び県特産材の選定から出発した。
㊤スギ材成木の瑞材(背板)の活用
(勤スギ材ロータリー合板の再応用
(勤ログハウス用丸柱の活用
(め間伐材′ ト経木丸棒の利用
蓬)県特産七島いの利用
①のスギ材成木の端材は、約亜年生のスギ丸
太から建築用板材を取った残りの材料で背板と
言われるもの。一般には建築の壁面の下張りや
梱包用に利用されている。背板の場合、自大で
節も少なく、繁成方法虻よって美しい人目が通
郡
経
て
て
一
観
処
中心的な役割を果すものとして、大きなテーブ
ル、上体を少し支持してくれる背もたれのある
イス、長く横たわれるペンチ、小物や植木鉢な
どが置けるタナ等を開発する事とした。又家具
以外のインテリア鴨連のアイテムとして、統一
した素材とデザインイメージで、室内用木製ス
ー2−
り
材
わ
皮
った柾目になり,繊細な感じで充分利用出来る。
価格が安く、材料費比率が大幅l こFげられる。
㊥のスギ材ロータリー合板は、県林業試験場
と県内のN合板会社の共同開発l こよるもので、
スギ材の成木を3暮■ 厚のロー一夕リー仮にし、平
行接着して15■ t 皆の合板にしたものを、再度積
層接着して厚い板状にして使用した。
木目が適所で繊細すぎる感じがあることと、
ロータリー状にする時のメボレ等の発年や、木
目の硬い部分や、極端に柔かい部分があって、
強度的忙不安が残った。厚い部材としての使用
の場合は強度面はある程度カバーできると考え
られる。もう一つの問題点として、集成同数を
増す事による経費の増大が、製品のコストアッ
プにつながる事が考えられる。
(卦のログハウス用丸柱は、現在、管内の日出
郡森林組合がログハウスとして製作し、売り出
している150m〆のスギ材旋別丸柱を活用した。
(この九拝加工技術は、当所が昭和53年に開発
した特殊旋別儀械が腐礎となり、郡内の役場を
経て森林組合に機械、技術、その他経営のすぺ
てを移管して新しい地場産業として企業化され
ているもの)
九桂の場合、芯持ち材であるためどうしても
一箇所以Lの割れが発生する。割れた部分が外
観的にあまり目立たず、違和感のないデザイン
処理をすること忙して使用した。
④の間伐材丸棒は、75暮Ⅰダに旋削加工して、
イス、ベンチの脚忙使用。
㊥の七島いほ、全国的にも生産量郁少なくな
り、県内・国東半島で小規模に行われている素
材である。七島いは苦衷(あおおもて)とも云
われ光沢のある背さ、素朴な美しさと共に、強
度も畳表の蘭単に比べて廉く、魅力がある。こ
の開発研究では、スギ集成材と複合させた製品
づくりとして、イス、ベンチに置くクッション
として採用した。
2_4 金具の開発
新しいデザイン、形態を具現化するため、新
しい構造や接合部を保持するための接合金具の
開発が必要であった。
テーブルの甲板と脚、イス、ペンチの座板と
脚を接合補偏する金員として、3.2p厚の鉄板
を半円形で所定の形に打ち抜いた平金具を製作
した。又、イス、ベンチの青もたれの九柱を水
平に保持するための金具として、20m〆の座金
付金具の開発、及びタナではタナ板が自在にl l 亨】
転でき、柱の荷電がタナ板に直接掛からないた
めの座金付文住金貝等3種類の開発を行った。
金貝の仕上げほ亜鉛(ユニクローム)メッキ什
Lげとし、全体的に素朴な感じを狙った。
2▼ 5 試作開発
G)ダイ・テーブル
W1844×D944)(
H650
薄いス半坂(瑞材)の集成材の甲板にログハ
ウス用丸柱を使った脚の組み合せ。九拝の場合
芯持ちであるため、一画所以.l 二の判れが想定さ
れる。予め背割りをして防ぐ方法か、判れた部
分を外観的に見えにくい場所に使うかで、この
開発では、後者の発想から、11の半分の断面を
甲板で隠す構造として、デザイン卜のポイント
とした。偉く広い叩板に人い丸粍を取り付け、
重量感を出したテ嶋7ル。
㊥ロー・チェ7 W572xD522YH625× SH:斑)
−3−
(劉ロー・ベンチ Wl 笈2xD王完辺ゞH65YSH:獄)
ロー・チェア、ロー・ベンチはテーブルと同
一構造による洗一したデザイン。背もたれl こロ
グハウス用丸桂、150■ 1一〆を使用。接合には開
発した■ と持金具を使った。丸應常対してはスク
リュウボルトで埋め込み、座板は二重ナットで
締めた。
水平l こ取り付けた九拝が、應椎l こ直接当るた
め座り心地の良恋もあるが、丸柱の中心を座面
から200暮暮と低くしたため、背もたれの機能よ
り腰紐を支持すると同時に、適度に腰椎を刺激
する効果があり,座ったまま背を伸ばす健康的
な面にも役立てられる。
ロー・ベンチは支持丸柱を全休に取り付ける
のではなく、一部をカットして開放感と長く横
たわる時の機能も考えた。
④花のタナ Wl O(氾× D900xH1800
テーブル、イスの周辺のものとしてタナ類の
開発を行った。花のタナは、広い空間に稼を取
り入れるための鉢置用のもの。中心の支柱はロ
グハウス用の丸佐150■ ■ 〆を使用。中間I こ3薗所、各3枚づつのタナ坂を置き、360皮全方向
l こ自在l こ回転できるよう忙した。
タナ仮に柱の荷重が直接掛からないようにす
るため,特別な支柱金具の開発尾行った。
試作の結果、3枚のタナ板を保持するために
は金臭の支柱が細く全体に揺れが生じた。金具
の桁度、強度上に欠点があった。又、芯持ちの
ログハウス用丸柾は割れが生じ、この場合全体
から見えるため.割れの生じない集成材等にす
る必要があった。
(参夕一ンラック W900xD620ズH1200
テーブルの横に置いて、小物等を置くタナと
して開発。タナ板は支柱l こ3箇所、各7枚づつ
を取り付け、花のタナと同様l こ自在に回転出来
るょうにした。この場合の支柱金具は、タナ板
1枚の支持ということもあり、荷重も少なく、
安定性もあり、それ程開顔は生じなかった。タ
ナ坂と金具との聞l こは塩ビシート0.5暮■ 厚を上
下に入れることで、抵抗なく、スムーズな回転
が可能となった。
(砂クッション伽 W450〆× H20
図−3.コンピュータ作図l こ上る試作前の碓誠
(診クッション陶 W410ズD410y H20
七島いは、カヤツリ草の一種で茎の断面は三
角形。それをニッI こ裂いたものを教本兼ねて三
ツ編みにし、約6■ 】r X9■ 暮のヒモ状にしたもの
を丸や角に巻いたクッション。同じものを2枚
作り、最後に二重に重ねて縫い合せ、全休の好
みを約加瓜に仕上げたもの。素朴な編み力の中
に、手編み独特の味わいが出て、スギ材の柔か
い雰囲気とも良くマッチすると考えられ、クッ
ションを使うことで商品価値の向上と県産素材
I こよるオリジナル性を出すため試作した。
(紗スリッパ W270xDl l Ox Hl OO
テーブル、イス、ベンチ、タナ等家具類の周
辺のものとして、室内用のスリッバを閑発。
素材はスギ集成材とバンドの皮との組み合せ。
集成材はテー7ルと同一のもので、全休の雰囲
気にも溶け合い、スギの柔らかさ、軽さが牲き
ている。
図−4 開 発 図 面
写真−3 ロー・チェア 写貞十2 ダイ・テーブル
写貞一5 ロー・チェア(ロータリー合板)
一写真−4 ロー・ベンチ
写臭十7 ターーンラック 写臭十6 花のタナ
写真−8
2_6 表面処‡電
以⊥の開発品の表面処理方法として、キズ、
ヨゴレが目立たず、木材の質感が損われないも
のを基本的な考え方として塗料の調査、選定を
行った。そのためウレタン樹脂塗料によるクリ
ヤーマット状の塗装を行った。これは、木材の
新たな判れが発井しても、塗料が準布されてい
ないところとの差が息苦しくなく、最少限豪而
にキズやヨゴレか付かないような配慮からで、
ウレタン樹脂に微粒子の粉末が加わったもので、
塗装後は少し凹凸面の肌ぎわり感があるものと
なった。指触感ではあまり塗装されている感覚
もなく、スギ材の柔かい表面を保護する面から
は多少問題もあるが、自然な材質感を出す効果
はあったと考えられる。
ろうが、広いスペ【スでのく豊かさ> くゆと
り>感が味わえるものと思う。
ログハウス用九拝の場合、素材の魅力、素朴
さほあるものの当初ナ想した以⊥二に表面割れが
発生したものもあった。そのため一部製.守一にな
らないものも出た。ヒビ、割れ等の度合いにつ
いては評価が分れるところでもあり、その程度
がむずかしく、見方によっては敬遠される。郡
2年皮にり・デザイン、再試作を図り商品化へ
粁び付けたい。
今回の開発に当って告えることは、あまり近
視眼的に見るのでなく、大らかに、モノの雰囲
気、什1二げ等を見直せは商品化と共に新たな需
要への広がりが期待できると考えられる。
史に進んだ研究開発を行う計画である。
3.結果及び考察
地域産材を使った特産品開発研究の初年度に
当る研究で、スギ材を新たな方向へ、どれだけ
新しいイメージづくりがロJ 能か疑問もあったが、
開発品I こ対しては、従来のイメージを改めて、
素材の特性の温か味が強調された事もあって、
ある程度の評価が得られた。広いテーブル等は
標準的な一般住宅の中では大きすぎる嫌いもあ
参考文献
人分麒:日田玖旗地域森林計画概要吾(昭利62
年皮)
大分県林業振興課、人分奴!林業試験場:スギ材
の有効利用技術の手引き(昭和63年3月)
大分県蘭業指導所:たたみの推学
日出市森林組合:日用林業